Pod内のコンテナ間でプロセス名前空間を共有する
Kubernetes v1.17 [stable]
このページでは、プロセス名前空間を共有するPodを構成する方法を示します。 プロセス名前空間の共有が有効になっている場合、コンテナ内のプロセスは、そのPod内の他のすべてのコンテナに表示されます。
この機能を使用して、ログハンドラーサイドカーコンテナなどの協調コンテナを構成したり、シェルなどのデバッグユーティリティを含まないコンテナイメージをトラブルシューティングしたりできます。
始める前に
Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:
作業するKubernetesサーバーは次のバージョン以降のものである必要があります: v1.10. バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください:kubectl version
.Podを構成する
プロセス名前空間の共有は、v1.PodSpec
のshareProcessNamespace
フィールドを使用して有効にします。
例:
クラスターにPod
nginx
を作成します:kubectl apply -f https://k8s.io/examples/pods/share-process-namespace.yaml
shell
コンテナにアタッチしてps
を実行します:kubectl exec -it nginx -c shell -- /bin/sh
コマンドプロンプトが表示されない場合は、Enterキーを押してみてください。
/ # ps ax PID USER TIME COMMAND 1 root 0:00 /pause 8 root 0:00 nginx: master process nginx -g daemon off; 14 101 0:00 nginx: worker process 15 root 0:00 sh 21 root 0:00 ps ax
他のコンテナのプロセスにシグナルを送ることができます。
たとえば、ワーカープロセスを再起動するには、SIGHUP
をnginxに送信します。
この操作にはSYS_PTRACE
機能が必要です。
/ # kill -HUP 8
/ # ps ax
PID USER TIME COMMAND
1 root 0:00 /pause
8 root 0:00 nginx: master process nginx -g daemon off;
15 root 0:00 sh
22 101 0:00 nginx: worker process
23 root 0:00 ps ax
/proc/$pid/root
リンクを使用して別のコンテナイメージにアクセスすることもできます。
/ # head /proc/8/root/etc/nginx/nginx.conf
user nginx;
worker_processes 1;
error_log /var/log/nginx/error.log warn;
pid /var/run/nginx.pid;
events {
worker_connections 1024;
プロセス名前空間の共有について理解する
Podは多くのリソースを共有するため、プロセスの名前空間も共有することになります。 ただし、一部のコンテナイメージは他のコンテナから分離されることが期待されるため、これらの違いを理解することが重要です:
コンテナプロセスは PID 1ではなくなります。 一部のコンテナイメージは、PID 1なしで起動することを拒否し(たとえば、
systemd
を使用するコンテナ)、kill -HUP 1
などのコマンドを実行してコンテナプロセスにシグナルを送信します。 共有プロセス名前空間を持つPodでは、kill -HUP 1
はPodサンドボックスにシグナルを送ります。(上の例では/pause
)プロセスはPod内の他のコンテナに表示されます。 これには、引数または環境変数として渡されたパスワードなど、
/proc
に表示されるすべての情報が含まれます。 これらは、通常のUnixアクセス許可によってのみ保護されます。コンテナファイルシステムは、
/proc/$pid/root
リンクを介してPod内の他のコンテナに表示されます。 これによりデバッグが容易になりますが、ファイルシステム内の秘密情報はファイルシステムのアクセス許可によってのみ保護されることも意味します。